空のない街

 

 

2<トビラ>
 
今ならまだ戻れるから
あと一歩踏み出したなら、もう戻れない
 
 
 
 
 
「−ココから、ソトに出れるんだ。」
 
ドームの外れで、真っ白な扉を指さしながらソラが言う。
 
 
 
「…あたし、ココ初めて来た…。」
きょろきょろと周りを見渡しながら、クウが言う。
 
 
「しょうがないよ。オトナたちが近付くなって言うもん。」
「だよね。ソラなんで知ってるの?」
「なんでって…ダメって言われたらやりたくなるじゃん?」
少し困ったように笑ってソラが言う。
 
 
「うわー、ソラ悪い子ー。」
「うるさい。でも僕も出たコトないんだ。やっぱダメって言われてるし。」
「そうだね。ソラ偉いー。」
「どっちだよ。」
言って、ソラがクスクスと笑う。
 
 
 
「…行こっか?」
「うん。」
ソラが鍵のかかってない真っ白な扉を開けて、奥へと進む。
 
少し歩いたトコロに、もう一つ扉があった。
 
 
 
「−ソラ!アオゾラ!見える!!」
「わかったから、落ち着いて。」
ドームとソトを繋ぐ通路からは、上を覗くとアオゾラが見える。
 
 
人工ではない、ホンモノのアオゾラ。
 
 
 
「…ココから出れば、ホンモノが見れるよ。…行く?」
「もちろん!ココまで来て帰るわけないじゃん。」
笑って言うクウに、ソラも軽く笑う。
 
 
 
「…じゃ、開けるよ?」
「…うん。」
少し緊張しているクウの返事を聞いて、ソラが扉に手をかける。
 
繋がれた手に、少し力が込められた。
 
 
 
 
−カチャ
 
 
 
 
意外な程あっさりと扉が開いて、ソラとクウは恐る恐る足を進める。
想像してたよりも固い地面が、二人を招き入れた。
 
 
 
 
「−っすっごい!!ホントのアオゾラだよ!!ソラ、すごい!!」
 
嬉しくて、クウはそこら辺を走り回る。
 
 
「クウ、落ち着いてよ。具合悪くなったら大変。」
「コレ見て落ち着いてなんかいらんないよ!ねぇ、ソラ。すごくない!?」
ホントウに嬉しそうなクウを見て、ソラが笑いながらため息を一つつく。
 
 
「うん、すごい。雲が流れてる。すごい、キレイ。」
「うん…すごいね…。ホンモノだぁ…。」
上を見たまま、クウはその場に座り込む。
本当に嬉しそうな笑顔で。
 
 
 
ソラはその隣まで歩いて行って、周りを見渡す。
見渡す限り目に入るのは、今出てきたドームと遠くの方にある山々。
それ意外には木も草もない。
 
 
 
「すごーい…アレがホンモノのタイヨウなんだね…。すごい明るい。眩しいー…。」
 
少し目を細めて、クウが笑う。
 
 
 
「…クウ、もう帰らないと。」
「うん…でも、もうちょっとだけココにいさせて?」
「…ちょっとだけだよ?」
言って、ソラもソコに座り込む。
 
 
そうして二人は、ただ雲が流れていく空を見ていた。
 
 
 
「…すごいキレイ…。ソラの髪と同じ色…。だからソラは"ソラ"って名前なんだね……。」
「…クウ?」
異変に気付いたソラが、クウを見る。
 
 
「へへ…なんだろあたし…なんか、苦し…。」
力なく笑って言って、クウは咳き込む。
 
 
 
「クウ!?」
 
倒れ込むクウの体をソラが抱え込む。
 
 
 
 
「クウ!しっかりしろ、クウ!!」
「…やっぱ、オトナの言うコトは、聞かなきゃダメ、だね…。」
言って、さっきよりも酷く咳き込む。
 
 
 
「クウ、もう喋るな。すぐ帰るから。」
「待って!」
立ち上がったソラを、クウが止める。
 
 
 
「…クウ?」
「…お願い、ココにいさせて…。」
「クウ、何言ってるんだ。すぐ病院行かなきゃ。」
「やだ…ソラのないトコになんて、戻りたくない…。」
苦しそうな表情で、クウが呟く。
その頬に、一筋の涙が伝う。
 
 
 
 
「…クウ。ソラは、ココにもあるだろ?それとも、僕だけじゃ不満?」
 
泣きそうな顔で笑って、ソラが言う。
 
 
 
「…そう、だね。すぐソコに、あったんだ…ホンモノ…。」
ニッコリと笑いながら、クウが呟く。
 
ソラの服をつかんでいたクウの手が離れて、だらりと落ちた。
 
 
 
 
「−っクウ!!」
 
 
叫んで、ソラも咳き込む。
 
 
 
 
「っク、ウ…。」
泣きながら、ソラは笑ったままのクウを見る。
 
 
 
「…っ誰、か…たす、けて…誰かぁ…。」
咳き込みながら、ソラが呟く。
 
 
 
「クウ…。」
 
 
 
クウの手を握って、ソラは意識を手放した。
 
 
 
真っ青なソラを、雲が流れていた。
 
 
 
あとがき。 
第2話終わり。
クウが大変です(他人事)あ、ソラも(笑)
 
ホンモノはカタカナししようと思ってたのですが、ごめんなさい雲は漢字でお願い(汗)
カタカナにすると蜘蛛みたくなちゃうのでイヤだ…(笑)
 
次で終わ…れるかな…(汗)