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1<アオゾラ>
空のない街を抜け出して、アオゾラを探しに行こう
いつでも、どんな時でも変わるコトのない真っ青な空。
雲を運ぶコトもなければ、雨を降らせるコトもない。
いつも変わらない。
そんな、人工の青空。
「-クウ、また見てるの?」
少年のような、少女のような中性的な声に、"クウ"と呼ばれた少女が振り返る。
「よく飽きないなー。」
「うるさいわね-、ソラ。」
軽く膨れるクウの言葉に、"ソラ"と呼ばれた少年がクスクスと笑う。
「そんなに好きなの?アオゾラ。」
「…わかんない。」
言って、クウは少し表情を曇らせる。
その傍らには、小さなガラス板をはめ込んだだけの、小さな小さな窓。
ソコから見えるのは、小さな小さな、『ホントウ』のアオゾラ。
「…ねぇ、ソラ。あたし-」
「クウ。」
諫めるようにして、ソラがクウの言葉を止める。
「何度も言ってるだろ?ソトは危ないし、オトナたちに怒られるよ?」
「わかってるけど…。」
小さく呟いて、クウは俯く。
「ソラは、見たいと思わないの?ホントウの、アオゾラ。」
クウは顔を上げ、まっすぐにソラの瞳を見る。
「あたしは、こんなニセモノのソラとタイヨウじゃなくて、ホンモノが見たいの。」
「クウ…。」
「だって、ココじゃ空はいつも同じなのよ?雲は流れないのよ?太陽は沈まないのよ?」
「クウ、落ち着いて。発作起きちゃうよ。」
半分叫ぶようにして話すクウを、ソラがなだめる。
クウは、少し息を切らしながら、喉を押さえる。
そんなクウを支えながら、ソラは上を見上げた。
ソコにあるのは、真っ青な空。
ドームの天井に描かれた、人工の青空と、タイヨウの働きをしている人工の球体。
いつでも変わるコトなく、ソコに在り続ける、ニセモノのソラとタイヨウ。
ソラは上を見上げるコトをやめ、少し苦しそうなクウを見る。
クウは生まれつき身体が弱く病気がちである。
特に気管支が一番弱っていて、空気の悪いトコロでは生きていくコトすらできないと言う。
「クウ、大丈夫?」
ソラの心配そうな言葉に、クウは小さく頷く。
「-…クウ。…見に行こうか、アオゾラ。」
ソラが小さく呟くと、途端にクウが顔を上げる。
「-っホントに!?ホントにいいの!?」
嬉しそうに、クウが言う。
「…いいよ。でも、いい?オトナたちには気づかれないように、こっそりね。」
「うん!」
「それと、ホントにちょっとだけだよ?行ってすぐ帰ってくる、いい?」
「うん!ありがとう、ソラ!!」
本当に嬉しそうなクウの笑顔を見て、ソラも自然と笑顔になる。
そして二人は走り出した。
ホントウの、アオゾラを探しに。
ソレがドコにあるのかは、分かり切っていたから。
あとがき。
第1話終わり。
珍しく後に続くような感じで切ってみた。え、それが普通?(笑)
これの元ネタは、母親との会話と、某歌手の歌。
何百年後かには、人間はドームの中とかで生きていそうだよね、って話をしてて。
地球を犠牲にして造り上げたモノに埋もれて人は生きてくんだろうなぁって。
歌は『空のない街抜けだし、虹を探しに行こう』だかいう歌詞(あいまい)
出せなかったけど、ソラとクウは双子ー。
名前とか思いっきり「空」の読み方変えただけだしね(笑) ソラが青い髪で、クウが赤い髪。 |