ウサギ



 
ただ、彼女の瞳がすごくキレイだったから。
ただ、それだけ。


聞き慣れた、名前を呼ぶ声がする。
彼女の声は、高くはなく、けれど低くもない。
けれど、すっと通るようなキレイな声をしてる。

手を振って笑う彼女に、軽く笑いかけて手を振る。


こぼれ落ちそうな大きな目は、遠くの空と僕を映していた。


キレイだね、と呟くと、彼女が何?と聞き返す。
何でもないよ、と笑って歩き出した。
すると、すぐ隣を彼女も歩き出す。

サラサラの長い髪が顔にかかって。
長いまつげが影を落とす。

そこから見える瞳も、すごくすごくキレイなのだけれど。


君のその瞳が欲しいと言ったなら、君はどんな目で僕を見るだろう。

キレイなその瞳が、侮蔑の色に染まるのか。
それとも、恐怖で見開かれるのか。

とてもとても、興味があるのだけれど。
それは、今はまだ言わないでおこう。


君の瞳は、まだたくさんのキレイなモノを映すから。
そして、たくさんの汚いモノや醜いモノも映すから。

それでもなお、キレイなままの君の瞳が、愛しくて、疎ましくて。
欲しいから。



君の瞳がキレイだから。
だから、欲しいだけ。

ただ、それだけ。



◇あとがき◇
 
なんか、久々に小説書いたなぁって思った。久々にネタの神様が降りてきて一気に書けた(笑)
なんてゆうか、クリムゾンでもなく華でもなく、何にも囚われずに自由に書けた感じ。
やっぱ適当に書けるモノも必要だなぁと思いました(笑)
とゆうわけで、ぼちぼち普通(?)の短編っぽいのもこれから書けていけたらいいなと思います。


 
 
(2006/6/14)