遺体がない葬式
いつもの時間 いつもの場所
いつもの君が いつもとは違う所を見ていた
何を、見ているの?
声をかけると、君は黙ったまま少し向こうを指差した。
その先に転がっているのは、真っ黒なモノ。
動くことをやめた、小さな黒ネコ。
唐突に、君が木の棒で地面をひっかき始めた。
埋めるの?と聞くと、うん、と簡潔な言葉が返ってくる。
それを聞いて、僕も同じように掘り始めた。
本当は、どうだってよかったんだけど。
君がそうしたいのなら、それでいい。
公園の土は意外と硬くて。
ネコがやっと入るくらいの大きさを掘るのに、けっこう時間がかかった気がした。
ふとネコを見ると、真っ黒な身体の横に、もう1つ黒いモノがあった。
カラスだ
呟くと、2、3羽のカラスがネコを取り囲んだ。
最初は、様子を見るかのように小さくつついていたけれど。
相手が動かないことがわかったからか、すぐにくちばしで啄み始めた。
真っ黒な身体が、真っ黒なくちばしで裂かれていく。
真っ黒な毛の下から、白い肌が覗く。
流れ出る赤が、それを彩る。
君は、ただ黙ってそれを見ていた。
僕も、ただ見ていた。
しばらくしてから、食べることに満足したのか、カラスたちはいなくなった。
黒い、ネコだったモノを残して。
近づかなくても、それが皮と骨だけであることは明らかだった。
すたすたと君がそれに歩み寄り、その場にしゃがみこむ。
そのままそれを掴んで、こっちへ歩いてきた。
地面に、点々と赤い染みができていく。
小さな塊を、小さな穴にドサ、と落とす。
思った通り、黒い皮と白い骨ばかりだった。
少し、大きかったね
呟いて、横によせてあった土をその上にかぶせる。
少しだけ盛り上がった土に、君が棒を突き立てた。
君は、それをただじっと見つめていた。
僕はその手を静かに取って、血に濡れたそれに、軽く口づけた。
口の中に広がった味は、なぜかとても甘かった。
2004/12/14
普通にこれを最初に書いたわけですよ。何も考えずに。
あとからお題に合ってないコトに気づいて、途中からムリヤリ書き換えてました(笑)
でもまぁこっちもそれなりに気にいったので、さりげなく公開(笑)
ネコに限らず、動物の血舐めたら危ないと思うのでやめてください(笑) |