生と死と 君と僕
きっと僕らは
一人でだって 生きてはいける
だけど
それじゃきっと つまらないんだ
「―なぁ、繭。おまえ死にたいの?」
唐突に、茶髪の少年が呟く。
その指が触れるのは、白い肌に走る赤い線。
「―…何、急に。」
「繭」と呼ばれた黒髪の少年が、静かにそれに答える。
「だってさ、こーゆう、リスカとかって、死にたくてやるんじゃねぇの?」
言いながら、傷に触れる。
キレイな肌に広がる、でこぼことした傷。
「―なぁ、死にたいの?
クスクスと笑う少年の言葉に、繭華は不機嫌そうに手を振り払う。
「あれ、怒っちゃった?」
変わらずに、少年はクスクスと笑う。
「ごめん、怒んないでよ。」
言って、少年が繭華の袖を引っ張る。
「まーゆ。」
優しい笑顔で、優しい言葉を吐く。
それに対して、繭華は小さくため息をつく。
「ね、どうなの?」
楽しそうに笑って、少年が問う。
「―…うん、死にたい。」
少年の目をまっすぐに捕らえて、簡潔にそれだけ答える。
「マジで?」
言って、少年はまたクスクスと笑う。
「―…
ん?と言って、「壱華」と呼ばれた茶髪の少年が首を傾げる。
「おまえはねーの?死にたい、って思ったこと。」
繭華の問いに、壱華が笑う。
「ねぇよー。俺、生きてて楽しいもん。死ぬのやだし。生きてたいよ。」
クスクスと笑う壱華に、繭華はふーん、と返す。
「これさぁ、痛くねぇの?」
「あー、別に。」
「うえー、痛そうだけどなー。」
言いながら、壱華がカサブタの上から傷を撫でる。
「…何してーの、おまえ。」
「んー、治んないかなーって。」
「アホか。」
繭華が吐き捨てると、壱華が楽しそうに笑う。
「―…なぁ。死を意識してる人って、生を意識してんだって。」
だから、と壱華が続ける。
「―繭は、ホントは生きたいんじゃねぇの?」
イジワルそうに笑って、壱華が言う。
「―…じゃあ。」
それに対して、繭華がゆっくりと呟く。
「―…おまえは死にてーの?」
まっすぐなその問いに、壱華は一瞬だけ驚いた顔を見せて。
そのあとすぐに、へらっと笑った。
「まっさか。ありえねぇよ。」
クスクスと、笑いながら言う。
「―…なぁ、繭。死ぬなよ。」
小さくゆっくりと、壱華が呟く。
それを受けて、不思議そうな顔をする繭華に壱華が続ける。
「繭いねぇとつまんねぇじゃん、俺。」
「…おまえ、彼女いんじゃん。」
いるけどー、と言って、壱華が笑う。
「彼女は彼女、友達は友達ー。」
違う?と目で聞かれて、そうだな、と繭華がため息と一緒に呟く。
「だってさ、もしアイツが死んでも、俺は生きてけるけどさ。」
つーか生きてくけど、と壱華が笑う。
「―繭が死んだら、ムリだよ。」
ゆっくりと微笑んで、壱華が言う。
「…意味、わかんねーし。」
「だからさ、繭。死なないでよ。」
「だから、意味わかんねーって。」
繭華が言うと、壱華がクスクスと笑う。
「―…もし死ぬなら、そんときは俺も一緒に殺してよ。」
笑いながら吐かれた壱華の言葉に、繭華はゆっくりと口を開く。
「…おまえは、生きてたいんだろうが。」
繭華の言葉に、壱華は笑う。
「―うん、生きてたい。」
へらっと、楽しそうに笑って、壱華が言う。
「―でも、繭のいない世界でなんか、生きていたくねぇよ。」
何の衒いもなく、壱華が笑う。
まるで、それが当たり前のことのように。
「……ったく…。」
ガシガシと頭を掻きながら、繭華がため息をつく。
「…どーしようもねーな、おまえも。」
「お互いさま、でしょ。」
言って、壱華がイジワルそうに笑う。
「ホラ、繭。指切り。一人で死にませーんって誓ってよ。」
クスクスと笑って、壱華が指を差し出す。
「…。」
繭華は何か言いたそうな顔をしていたが、そんな気も失せたのか、また一つため息をついた。
ゆっくりと静かに指を絡めると、壱華が嬉しそうに笑った。
指を離したら、始まり
生と死と、君と僕との 約束の始まり
あとがき
もはや題名にこだわることを放棄しました(笑)だってめんどいし、考えらんないの(笑)
生きること、死ぬことにそれぞれ依存した話が書きたかったんだけども。結局なんか共依存?(笑)
どっちかっていうと壱華の方が依存してる感じですがね。
終わってみたら繭華がため息ばかりつくヤツになってしまいました(笑)無口で無愛想だし。
きっと壱華が調子いいヤツだからでしょう(笑)
あたしの話そんなんばっかだ(笑)
(2004・10・13) |