自分存在意義
別に人殺しが好きなわけじゃない
嫌いでもないけど
ただ自分の生きている意味が
それだというだけのこと
別に死にたくないわけじゃない
生きていたいわけでもないけど
微かな叫び声と共に、鉄の臭いが広がる。
ついさっきまで動いていた男を見下ろし、男が軽く笑う。
その瞳は血のように赤く、同じ色をした髪の上に血がかかる。
「−…
唐突に声がして、"蓮華"と呼ばれた男が顔を上げる。
その目の前には、同じような赤い髪の男。
「−
ポタポタと血の滴るナイフを手に、蓮華が近づく。
「久しぶりー。今日のターゲット?」
"朱"と呼ばれた男が、蓮華の後ろを覗き込んで言う。
「そー。ちょっと話したらムカツクおっさんだった。」
顔にかかった血を拭いながら、蓮華が笑って言う。
「相変わらず手際いいなー。蓮華、俺よりうまいかも。」
「本職のヤツが何言ってんだよ。」
言って蓮華がクスクスと笑う。
「まだフリーでやってんの?どっか入ればいーのに。」
「やだよめんどくせー。お抱えより雇われの方が気楽じゃん。」
「蓮華らしー。」
言って、朱がクスクスと笑う。
「−ま、お抱えなる気になったら声かけて。
「紋って朱んとこのトップだっけ?」
「そー。」
「ま、あんま期待しねーで待ってて。」
「わかってる。」
クスクスと2人で笑って言う。
「じゃーな、蓮華。今度会ったら飯でも食おーぜ。」
「おー。またな朱。」
お互いに手を振って、朱が背を向けて歩き出す。
その時、短い女の悲鳴が聞こえて蓮華が振り向く。
少し厚めの化粧の、仕事帰りらしきスーツの女。
「−っあ、…な、何…?」
脅えた目で死体と蓮華を交互に見る。
「−あのさぁ。」
唐突な蓮華の言葉に、女がびくっと肩を震わす。
「…救急車、呼んでくんない?あの人殺ったヤツ捕まえようと思ったら逆にやられちゃって。」
少しだけ辛そうな顔で蓮華が言って、血のついた腕を軽く上げる。
「あ、わ、わかった…。」
女はそう答えて震える手で携帯を取り出す。
「−っも、もしもし?あ、あの…。」
電話をする女の後ろから、蓮華が音もなく近づく。
「−っあの、けが人がいて、それで−」
最後の方で女は声を上擦らせた。
目を見開いて、恐怖に引きつった顔で蓮華を見る。
その胸には、深々と突き刺さったナイフ。
「バイバイ。」
ひらひらと女の目の前で笑いながら手を振って、そのナイフを抜く。
途端に赤い血が飛び散り、女は倒れ込んですぐ動かなくなった。
『−もしもし?どうしました?もしも−』
パキッ、という音がして、電子音が消える。
「うっせーよ。」
言いながら、蓮華が携帯を踏み潰す。
「アンタが悪いんだぜ?こんなトコに居合わせるから。」
横たわった女の髪をぐい、と引っ張って蓮華が笑いながら言う。
それはおもちゃを見つけた子どものように、本当に楽しそうな笑顔。
真っ赤な髪と真っ赤な瞳と、真っ赤な血。
全てを赤い赤い月が見下ろしていた。
別に人を殺すのが好きなわけじゃない
ただ
自分の存在を確かめているだけ
自分がどこまでやれるのかを
知りたいだけ
いつ殺されたってどうだっていい
それまで誰かを殺していくだけ
それで
俺は存在している
あとがき
なんかやけに前後の詩が長くなってしまったような…(汗)
まぁ気にしない気にしない(開き直り)
なんで朱が出てるかって言うと、殺し屋で赤い髪って朱とかぶってるなぁ、ってただそれだけ(え)
つまり深い意味はないってコトです(笑) |