フェイクファー
死にたいのか、生きていたいのか それすらも、よくわからなかった ただ、赤い色が好きだと、思った。 夏が近づくにつれ、段々と蒸し暑くなってきていた。 いつだって見れる傷が、一段と目につく。 どうして、こんなにはっきりと痕が残っているのだろう。 そんなに深く切ったわけでもないのに。 流れる程、血が出たわけでもないのに。 どうして、また傷を増やしていくのだろう。 「―… 唐突に聞こえた声に、ゆっくりと瞼を開ける。 目の前に、見慣れた黒髪があった。 「…百合、久しぶり。」 「…1時間前に会ったけど。寝ぼけてんの?」 「んー…。」 返事にならない返事をしながら、仰向けになる。 透き通った青空と、太陽が眩しかった。 「…傷、目立つね。夏になるとどうしても腕出すし。」 「んー…。」 ぼんやりと答えると、腕に細い指が触れた。 白く浮き上がった傷痕を、ゆっくりと撫でていく。 少しだけくすぐったくて。 微かな安心と、不安を覚えた。 投げ出していた腕を持ち上げて。 目の前にあった首に、ゆっくりと絡める。 そのままゆっくりと引き寄せて、ゆっくりと唇を合わせた。 顔にかかった黒髪がくすぐったくて、心地良かった。 寝転んだまま、細い体を腕の中に収める。 小さな体が身じろいで、優しく髪の毛を撫でた。 好き、と言われたら、同じ言葉を返す。 だけど、きっと同じ気持ちではないような気がする。 誰かと繋がっているという、安心感。 ただ、それを感じたいだけなのかもしれない。 ニセモノの感情。 ニセモノの安らぎ。 ニセモノばかりの世界へ、堕ちて行く。
学校の屋上的な雰囲気でお願いします(笑)
(2005/5/13) |