バグ
 
 
 
 
 
「−あ、バグった。」
 
 
唐突な慧の言葉に、読んでいた本から顔を上げる。
 
明るいテレビ画面には、動くことをやめたキャラクターの画像。
音楽は、変わらずに流れている。
 
 
 
「あちゃー…セーブした?」
「んー、ココ入る前だからー…15分くらい前。」
「あー…頑張れ。」
笑いながら言うと、慧がめんどー、と文句を吐く。
 
 
「やっぱり古いゲームは厳しいんじゃねー?」
「あー、やっぱー?でもさ、時々古いのやりたくなるじゃん。」
「あー、まぁなー。」
言って、軽く笑う。
 
 
画面は焼き付いたまま動かずに、音楽だけが流れる。
 
 
 
「…なんかさ、」
言うと、慧がんー?と見る。
 
 
「こうやって画面止まってんのに音流れてるとさ、あープログラム違うんだなーって思う。」
「…朱、観点が面白い。」
「え、ウソ。だってそう思わね?こんな小さいディスクに色々と入ってんだぜ?」
言いながら、いくつか置いてあるソフトを指差す。
 
 
「まぁ、そうだけどさ。普通特に気にしねーよ。」
「マジ?」
言って、2人でクスクスと笑う。
 
 
 
 
「−あ、そだ。」
「ん、どした?」
突然声を上げた俺を、慧が不思議そうに見る。
 
 
 
「あのさ、なんでバグなの?」
「は?な、何が?」
「あ、ごめん。えと、慧の通り名。」
言うと、慧が納得したように、あぁ、と頷く。
 
 
「バグチャイルド?」
「そう、それ。」
「んーっと…俺、前にBUGってトコにいたの知ってる?」
「ん、知ってる。」
慧の問いに、軽く頷く。
 
 
 
「それにあやかって、っていうか、なんていうかでつけられた。」
「あれ、意外と簡単。」
「そーだよ。」
言って、慧がクスクスと笑う。
 
 
 
「チャイルドだって、そん時ガキだったからついてるんだし。」
「え、いくつの時?」
「10歳。」
「うわぁ。」
言って、2人でクスクス笑う。
 
 
 
 
「あ、でもさ。バグの理由は?」
「あー…何てゆーかなぁ…。」
言いながら、慧が少し考える。
 
 
 
 
「−バグ、って、プログラムとか、壊すじゃん。そんな、感じ。」
笑いながら、慧がそう言った。
 
 
それを見て、聞かなきゃよかった、なんて思った。
 
 
 
 
「−…リセット、しねーの?」
「ん?」
「ゲーム。」
「あ、そっか。」
思い出したように、慧がカチ、とボタンを押す。
 
 
一瞬画面が暗くなり、始まりの画面が現れる。
 
 
 
 
「−…なんかさ。」
「ん?」
慧の言葉に、何?と聞き返す。
 
 
 
 
「−…簡単にリセットとか、できたらいいのにな。」
 
唐突に吐かれたその言葉に、すぐには反応できなかった。
 
 
 
 
「−なんてな。」
 
口を開きかけた俺を遮るかのように、慧がへらっと笑う。
 
 
 
 
「さーて、頑張るかなー。」
言いながら背を向けた慧に、何も言葉が出てこなくて。
 
どうしようもなくて、そのまま読みかけの本に目を伏せた。
 
 
 
 
「−……ごめん。」
 
 
 
その呟きに顔を上げると、慧は何事もなかったかのようにゲームを進めていて。
 
それを見て、なんだかおかしくなって。
気づかれないように、小さく笑った。
 
 
 
 
 
 
[バグ]

お題6つ目〜。朱と慧ー。この2人は書きやすくて楽(笑)
バグってお題見たときに、あ、これは慧しかない!と勝手に思ってた(笑)
 
古いゲームって唐突にやるたくなるよね(同意を求める声
昨日久々にゲームしたらバグったので、実話盛り込んでみたよ(爆笑)
朱の発言は、もろにあたしがそう思ったから(笑)
 
私情挟みまくりな一作でした(笑)
 
 
(2004/11/15)