厭味なくらいのリアリティ
 
 
 
 
 
目を開けて一番に思うことは
自分が生きているという、現実
アイツがいないという、現実
 
 
 
 
ぼんやりと天井を眺める中、はっきりしてきた頭に、時計の音が響く。
軽く叩くようにしてその音を止め、ゆっくりと起き上がる。
 
ブラインドの隙間から、光が漏れる。
 
 
 
「−…めんどくせ…。」
 
小さく呟きながら立ち上がる。
ブラインドと開けると、外の光が部屋に入り込む。
 
 
今日が雨じゃなくてよかったな、とぼんやり考えていた。
 
 
 
少しだけ冷えた空気の中で、蛇口をひねって一気に水を出す。
 
その冷たさに少し躊躇いながら顔を洗う。
やっと、目が覚めてきたような気がした。
 
 
 
 
「−っ」
 
 
何かに引っ張られて、軽く下を向く。
タオルが首の鎖に引っ掛かって長い糸が出ていた。
 
引っ掛かった所を指で外すと、鎖がチャリ、と音を立てる。
 
 
細く、シンプルな十字架。
 
 
象徴のように、『Crimson』という文字が小さく彫り込まれている。
その下に、更に小さく彫られている、『REI』という文字。
 
 
 
力を入れたら、簡単に折れてしまいそうなくらいに細いくせに。
よくもまぁ、こんな細かい芸当ができるもんだ。
 
 
ふっ、と自嘲気味に笑って、目の前の鏡を見る。
 
 
 
普段は隠れている、顔の右半分。
爛れた皮膚は、見た目こそ痛々しいが、感覚はすでにない。
 
 
 
 
視界の消えた、右半分
音の消えた、右半分
最後に、アイツの笑顔と声を届けた、右半分
 
 
 
悲しみなんて、初めから感じていなくて。
あるのはただ、空虚だけ。
 
 
 
 
強くありたいと、いつでも願っていた。
過去に捕われずに、生きようと思った。
 
だけど今でも、アイツを思い出してる。
それは弱さなのか、強さなのか。
 
 
 
 
現実は時に残酷で、痛みと傷痕ばかりをこの身に残す
 
だけど今、生きているから
生きろと、言われたから
 
 
だから
きっと、この先も アイツと生きていくんだと思う
 
 
現実という、世界の中で
 
 
 
 
 
[厭味なくらいのリアリティ]

お題4つ目〜。えー、とってもわかりにくいですが、玄です。
本編あんまり出てこないのに、こっちで登場(笑)
アイツっていうのは零のコト。
玄はちゃんと自分の十字架持ってます。持ってるけど、やってるのは零のです。
ちなみに細かい芸当をやってのけたのは尚です。
 
なんか全体的に暗いですが。そーゆう時もあるさで笑ってごまかしておく(おい)
玄は別に零と付き合ってたとか、好きだったとかじゃないんですよ。
ただ、大事な存在で、守れなかった自分が悔しいだけなんです。
そこらへんは追々本編で…語れたらいいなぁ…(こればっかだよ
 
(2004/11/12)