蜘蛛の糸
 
 
 
 
 
「−なぁ、紋ー。なんでー?」
「なんでって…何がー?」
コーヒーのおかわりをいれながら、慧に笑いかける。
 
 
「なんでさ、みんな紋についてくわけ?」
「なんでって…ついてきてくれる人に聞いてよ。」
「あはは〜確かにー。」
カップを受けとりながら、慧が笑う。
 
 
「みんな紋が拾ってきたんだっけ?」
「拾ってきたって…そんな犬じゃないんだから。」
「だって実際そうなんじゃねーの?」
「まぁ…そうかも。」
言って、軽く笑う。
 
 
「んっと、3人くらいだよ。昴と哉と朱。」
「ふーん、なるほどねー。」
言って、慧が薄く笑う。
 
 
 
「−…慧は、どう思うの?」
少しイジワルそうに笑って、慧に問う。
それに対して、慧はうーんと考える。
 
 
そして一言、
 
「蜘蛛の糸」
 
と吐いた。
 
 
「何ソレ?どーゆう意味ー?」
「んー、何てゆーかさ。」
言って、慧が軽く頭をかく。
 
 
「絶望の底で、ただ1つさしのべられた希望の光。」
 
って、感じ?と慧が少し困ったように笑う。
 
 
「あー、そーゆう意味ね。ちょっと納得。」
「俺的イメージね。」
言って、慧が笑う。
 
 
「じゃあすぐ切れちゃうねぇ。」
「だってその通りじゃん?」
確かにー、と言って、2人でクスクスと笑う。
 
 
 
「−でもさ、1人だったら支えられんじゃん。」
 
慧が、静かな笑顔で言う。
 
 
「だから、紋は1人に1本の蜘蛛の糸垂らしてんの。」
クスクスと笑って、慧が言う。
 
 
「…なんか、僕が蜘蛛みたいじゃん。」
「あはは〜気持ち悪ー。」
面白そうに笑いながら、慧が言う。
 
 
 
「−…慧も、それにつかまってるの?」
 
口元に笑みを浮かべながら、問う。
それに対して、慧はゆっくりと笑みを浮かべる。
 
わかり切っていたこと。肯定も否定もない、応え。
 
 
「…つかまりたくは、なるぜ。ココ、居心地よすぎるから。」
「誰かさんのトコと一緒にしないでよ。」
言って、クスクスと笑う。
確かに、と言って慧も同じように笑う。
 

「まぁ、実際つかまったら、紋にチョキンと切られちゃうかもしれねーし。」
言って、ケラケラと笑う。
 
 
「石橋は叩いてみちゃう性分なんで。」
「うわ、似合わなーい。」
言って、2人でクスクスと笑う。
 
 
 
「−そろそろ帰るなー。コーヒーごちそうさま。」
言って、慧が立ち上がる。
 
 
「またいつでもどーぞ。」
「おー。」
 
カチャ、とドアが開いて、外の光が入り込む。
 
 
「−…紋のつかまってる糸は、切れなきゃいいな。」
 
 
笑いながら、慧が言う。
じゃな、という言葉を残して、ドアの向こうに笑顔が消えた。
 
 
「−…どこまで知ってて、言ってるんだか。」
 
 
閉じられたドアから視線を逸らし、くつくつと笑いながら呟いた。
 
 
 
 
  細くて脆い、1つの繋がり
  今にも切れてしまいそうなくらい、弱い
 
  だけど
 
  とても大切な、繋がり
 

 
 
 
[蜘蛛の糸]

 
お題2つ目〜。今回は紋と慧で♪
紋も慧も含みのある笑顔しかしないもんだから、どこまで本気で語ってるかわからんです(笑)
 
ところで「蜘蛛の糸」の話知ってる人どんだけいるかねぇ?
昔はなんか自然と知ってたけどさ。今の子ってどうなの…?(汗)
 
えーと、簡単に説明。
悪人が地獄に落とされて、だけど生前に蜘蛛を1匹助けてて。
それでお釈迦様が男に蜘蛛の糸を垂らしてあげて、助けようとするのです。
男はそれにつかまるんだけど、地獄にはまだ他の人たちもいるわけよ。
で、みんな助かりたくて次々に捕まってくるのね。
それで、男は自分が助かりたいから他の人たちを蹴落としちゃうわけよ。
そしたら糸がプチっと切れて、はいさようならって感じの話。
…だよね?(不安気
 
(2004/11/12)