拒 絶 信 号
 
 
 
「−…なーおくん、今ヒマ?」

「…拒否権は?」
「アリマセン☆」
笑顔で言うと、尚が大きくため息をついた。



「−おまえ、何やらかしたの?」

レンズ越しに機械の塊を見ながら、尚が聞いてきた。


「えー、何もやってないよー。普通にやってたら突然動かなくなっちゃったの。」
「酷使しすぎなんだよ。機械だって人間と一緒で疲れるんだからよ。」
尚の言葉に、ふーんと答えながらぼんやりとその声の主を見る。

普段はかけていない見慣れないメガネが何故か新鮮で。
そういえば機械いじりのときはかけていたかもなぁとぼんやり思った。



「−…とりあえずはこれで動くけど、あんまムリさせんなよ。」
「どーも。相変わらず機械強いねぇ。」
「まぁ趣味みたいなもんだしな。」
言いながら、尚がメガネを外す。


「あ、いつもの尚だ。」

言うと、はぁ?と不思議そうな顔をする。


「普段かけてないじゃない。だからなんか見慣れなくて。」
「あー、別に日常生活には必要ねぇもん。」
「目いいもんねぇ。」
「まぁ、どっかの金髪野郎には負けるけどな。」
尚の言葉に、確かにと笑う。


「尚、この後の予定は?」
「何もねーよ。知ってんだろ。」
「うん、知ってるー。じゃあご飯でもどう?」
「…おまえと?」
「そーんな嫌そうな顔しないでよ〜正直者だなぁ。」
言いながら、クスクスと笑う。

「別に、嫌なわけじゃねぇよ。」
言って、尚が頭を掻く。

「おまえとメシ食っても話題ないしつまんねぇんだもん。」
「いいじゃん、思い出話でもすれば。」
「俺、おまえのそーゆうとこ嫌いだわ。」
笑いながら言われた言葉に、クスクスと笑う。


「んーじゃ、俺の知ってる店でいーか?」
「あ、一緒に食べてくれるんだ。」
「どうせ、一人で食うの寂しいんだろ?」
意地悪そうに笑う尚に、ふっと笑う。


どうしてこうも、何もかも見透かしているような笑顔で笑うのだろう。

あぁ、それは僕も一緒なのかな。



「−紋、行くの行かねぇの。」
「あ、行く行く。」
言いながら、上着を軽く羽織る。

どうして尚は此処にいてくれるんだろうと、ぼんやり思った。







膨大な、意味も何もないような大量の数字たちの紙。
事務的にキーボードを叩いてそれを打ち込む。

仕事の中でこれが2番目に嫌いなんだよなぁとどうでもいいことを思った。


事務職員探そうかなとため息をついたとき。
エラーを告げるメッセージが画面に映し出された。



「あーあ、もう。めんどくさいなぁ。」


ため息と一緒に、書類の束をキーボードの上に落とす。




「−……疲れちゃった、かな。」


小さく落とすように呟いて、重い瞼を閉じた。
 
 

  
尚は紋があんま好きじゃなくて、でも別に仲が悪いとゆうわけではないです。
たまにかけるメガネも萌だよね(黙れ
 
 
(2007/1/16)