キ ズ ア ト
 
 

夢を見た。
赤い、赤い夢。

昔の、古い記憶。
 
 

「−…雨…?」

ポツポツと窓を叩く音に、顔を上げる。


雨は、あまり好きじゃない。
雨の日は嫌い。
赤い記憶は、何故かいつも雨の日だったから。
 


「…やだなぁ…。」
カラカラ、と窓を閉めながらため息をつく。
 


 −ガシャン
 


はじっこに引っかかったのか、窓際に置いてあった鉢植えのサボテンが落ちた。
鉢は割れなかったけれど、サボテンが飛び出して土がばらまかれている。


「あー…紋さんに怒られちゃうや…。」
言いながら、しゃがんで土を集める。


「−っ」

小さな棘が、肌を刺して。
白い指に、赤い赤い血が滲む。


赤。
血の色。
記憶の中の色。

鮮明な、痛みの色。
微かな、快楽と安心の色。
 


指を口に持っていきながら、ゆっくりとテーブルの上のナイフを手にとる。
それを軽く腕に置いて、ゆっくりと横に引く。

白い肌に赤が浮かび、溢れて、流れた。

口に広がる、鉄の味と同じモノ。


白い腕に浮かぶ、白い淡い傷跡。
赤い血がそれを彩り、微かな痛みが記憶を蘇らせる。
 


「−…どうして生きてるんだろうなぁ、僕…。」

誰にともなく呟いて、小さく自嘲した。

流れの止まった血を軽く舐めて、またしゃがむ。
落ちてしまったサボテンを拾い、鉢に戻す。

小さな無数の棘が、肌を傷つけるコトさえ厭わずに。
 


小さく傷ついて、血の滲んだ手の平を見て、微かな安心感を持つ。
自分がここに生きて、存在しているという、確かな証。


それと同時に溢れでる、虚無感。
ここでこうして生きているというコトへの、絶望感。
 




「−…雨、か…。」

白い傷跡と、滲む赤を見下ろして小さく呟いた。
 
 
 

  
白単品は初めてです。 
Crimsonでリスカ話は書けないと思ってたけども、実は白はいけるコトに気付いたよ(笑)
白は普通の子でいようと決めていたのに、なんだかけっこう危なくなった(笑)
まぁリストカッターなんてそんなもんです(偏見?
 
サボテンは紋があげてるモノだったりとかする。
白だけじゃなくてけっこうみんなにあげてるのです、彼は(笑)
きっと紋の部屋はサボテンいっぱい(笑)
 
 
 
(2004/8/29)