カ サ
 
 
 
もし、世の中から嫌いなモノを順番に消していくとしたら、何を一番最初に消すだろう?


きっと僕は、僕を一番に消すんだろうと思う。




一番初めに、死にたいと願ったのはいつだったけ?
ほんの数年前の、だけど、とても遠いように感じるあの日。

コンビニで買った安っぽいカッターをポケットに忍ばせて。
放課後の静まり返った教室で、一人で自分の席に座っていた。

聞こえるのはグラウンドの運動部の声とか、吹奏楽部の奏でる楽器の音色。
それら全ての音が僕のどこか遠くで響いて、教室はとても静かだった。


目的も意味も、何もなかった。
何の理由もなく、僕はカッターを腕に滑らせた。

死にたいとは、ぼんやりと思っていた。
手首を切ったって死ねないことぐらいはわかっていたけれど。
矛盾した行動の意味を、自分でもわからなかった。

きっと、切ってみたかったから切ったんだと思う。



一瞬だけ感じた痛み。
ほんの少しだけ滲んだ血。

表面が切れただけでこのぐらいの痛みならば、血管を切ってまで死ぬ人は、どれほどの痛みに耐えるのだろう。


つまらないことを考えながら、カッターをポケットにしまった。

いい加減帰らないと、あの人はうるさいだろうし。
どうせ何も、心配なんてしていないくせに。


あの人たちに必要なのは、ただ黙って言うコトを聞く勉強のできる人形。
必要なのは僕じゃない。

わかっているのなら、どうして僕はまだあそこにいるんだろう。
いつだって飛び出せるし、それこそ死んでしまえばいいのに。


結局僕は、死ぬのが恐いだけなんだ。

生きることだって、恐いくせに。


僕はいつまで、人形でいるのだろう。
いつかは抜け出さなきゃいけないのに、抜け出したいと願っているのに、恐くて何もできていない。

臆病者の僕は、これからも人形のままなのかな。




そんな想いのまま、月日は過ぎて行って。
僕は相変わらずの、お人形のままで。

腕の傷は少しずつ増えていってた。



学校では、大体ひとりでいた。
話しかけられれば応えるし、用事があればこっちから話しかける。
ただ、それだけだった。

僕はあまり人づきあいが上手い方ではなかったし。
他人といても疲れるだけなので、ひとりの方が気楽だった。


そもそも僕は、どこかしら感情が欠落しているように思った。
だから欠陥人間のように感じるのか、欠陥人間だから感情がないのか。
それすらもどうでもよかったのだけれど。


教室とゆう空間は苦痛だった。
休み時間ともなると、一斉に騒がしくなる。
教室やら廊下やら、学校中からたくさんの声が聞こえてくる。
それらは意識と関係なく僕の頭の中に入ってきては、次々と抜けていく。

どうしてここにいるのか、どうしてここにいなければいけないのか。
見つからない答えを、いつもさがしていた。


その教室に、一人だけ気になる子がいた。
恋愛感情とかではなく、言ってみればただの興味本位。

いつも友達と楽しそうに笑っていて、友達もたくさんいて。
誰とでも分け隔てなく付き合っている、僕とはまるで正反対な存在。

その彼女が、時々ふとした瞬間、影を落とすことがあって。
それをいつも不思議に思っていた。
周りにいる人たちは何にも気づいていないようで。
それを見ると、彼女の周りの人間関係が酷く虚しくも見えた。


だけど僕はそれを追求する気もないし、しようとも思わなかった。
僕は僕で、どうすれば波風が立たないかをいろいろ考えなくてはいけなかった。

くだらない世間体を気にする大人たちに囲まれて、いつだって息が詰まりそうで。
死んでしまいたいと、何度願っただろうか。
その度に虚しくなっては、腕の傷が増えていくだけ。

僕は、いつまでこうやって生きなければいけないのだろう。




そんな毎日に絶望していた僕を連れ出してくれたのは、君だったんだ。


生きている理由も意味も、まだ何も見つからないけれど。

だけど、僕はまだココで生きていけるような気がするんだ。


 

 
独白で終わっちゃった狽、白です。
ちょっと昔を振り返ってみたんじゃあないでしょうか。
白が気になってか彼女は哉ですヨ。
忘れ去られてそうですが、この子たち高校の同級生ですヨ。

白は家庭環境があまりよろしくなかったご様子。
デキのいい兄がいていつも比べられていた感じ。
父親はどっかのお偉い社長さんで、母親はお医者さんか先生(決まってないよそんなん
そんな家族が嫌いだった白ちゃんでーす。むしろ家族だけど他人ぐらいの勢いでーす(笑)
 
 
(2007/10/26)