過去と現在 ( いま )
 
 
 
  今さら後悔したって全てが遅いけれど
 
  あの時ああしていれば
  あの時ああしなければ
 
  そうしたら
  現在 ( いま )がどう変わっていたというのだろう
 
 
 
 
 
 
「−…桜ー…寝てんのか?」
 
 
様子を見に戻ってきたら、桜はテーブルの上で腕を組んで、その上に頭を乗せて寝ていた。
言われた通りに、食べ終わった皿は片づけたらしい。
 
 
 
「…カワイイ顔して寝てるコト。ガキみてー。」
 
ま、実際ガキだけど
 
 
無防備な顔に手を伸ばして、サラリと黒髪を指で梳く。
 
 
 
 
 
「−…ん……。」
 
桜が微かに身じろいで、起こしてしまったかと思い手を止める。
それから動く様子もなかったので、どうやら起きたわけではないらしい。
 
 

 
 
「−……お、にぃ…ちゃ……。」

 
 
小さな、とても小さな呟きに手を止める。
 
 
 
 
『お兄ちゃん』
 
 
俺が殺した、桜の家族。
あの家の中では唯一、桜の味方だったのかもしれない。
 
 
そもそも、あの殺しを依頼したのは誰だったというのだろう。
あれで誰が何を得したというのか。
 
 
 
少しの間考えて、かなり短くなったタバコを灰皿に押しつける。
 
 
 
 
起きる様子のない桜を抱えて、ベッドまで運ぶ。
いっつも寝てんのに、なんでコイツはこんなに寝れるんだか。
 
ギシ、という音を立てて、ベッドが軋んだ。
 
 
横に座って、子供みたいな寝顔に手を伸ばしかけて少し躊躇う。
 
 

 
 
「−……り、ん……。」

 
 
小さな小さな呟きに、思わずふっ、と笑みをこぼす。
手を伸ばして、サラサラした黒髪をくしゃっと撫でる。
 
 
 
 
「−…お兄ちゃん、ね…。」
 
 
立ち上がって、壁によりかかって小さく呟く。

 
 
 
 
「―――……柳。」
 

 
小さな小さな言葉を吐いて、目を閉じた。
 
 
 
 
 
 
  今さら何を思ったって、全てが遅いけれど
 
  あの時こうしていれば
  あの時こうしなければ
 
  そうしたら、きっと現在 ( いま )は存在していなかったのだろう
 
 
  今さら何を後悔したって、全てが遅いから
  だから現在 ( いま )を生きていくしかないのだろう
 
  たとえ、罪にまみれたこの身でも
 
 
 

 
 
「グラス」の裏(?)話ですよー。今回は短くまとまりました(笑)
前後っつーか後の詩がなんか長いが気にしない方向で(笑)
 
しかしあれね。凛と桜を書くとどうしても雰囲気甘いなー(笑)
まぁあたしはそんなのが好きなのでほっとくが(開き直り)
 
忘れられていると思うけど、桜にはお兄ちゃんがいたのですよー。
そして凛が最後に呟いた「柳」とはその人なのか!?
まぁ流れ的にそうなんですけどね(暴露)
そのうちそこらへんも書きますー。