「−朱、髪伸ばしてるの?」

唐突な言葉に、顔を上げる。
そこには、楽しそうな哉さんの笑顔があった。
 

「−あ、ハイ。」
「ふ〜ん。…仕事の時ジャマじゃない?」
「…黄にも同じコト言われました。」
「あははっ、やっぱり?…でも、キレイだからいーわね。」
「はぁ…。」
 

生まれつきの赤い髪。
血の色。血の名前。
 
それを、「キレイ」と言う。
 

「で?なんで伸ばしてるの?」
「えっと…願掛けみたいなもんです…。」
「そっかぁ…。アタシも髪伸ばそうかなぁー。」
「哉さんがですか?」
「うん。変かなぁ?」
言って、哉さんが自分の髪を軽くつまむ。
 

「いえ、変ではないと思いますけど。」
哉さんの髪はさらさらのショートカット。
それは、明るく活発な彼女によく似合っている。
 

「けど?」
「…仕事の時、ジャマじゃないですか?」
「…。」
「…。」
沈黙がなんだか気まずい。
 

「あははっ。朱、アンタが言っても説得力ないよ?」
「あ、そうですね。スミマセン。」
とても楽しそうに笑う彼女を見て、自分も笑う。
 

「ホ〜ント、朱って笑うとカワイ〜顔するわね〜。」
「や、からかわないでくださいよ。」
「も〜照れちゃってvv」
「哉さん!!」
そして彼女はまた笑う。自分も笑う。
 

それがとても楽しくて。
ついつい忘れてしまいそうになる。
 
自分が、人殺しだというコトを。
 
 
こうして、何もかも忘れて笑っていて。
いつか、大事な人をこの手で殺してしまうのかもしれないのに。
 
 


哉っていうのは、朱の先輩です。19歳。
ナチュラルに敬語で書いてしまったのは何故だろう…(遠い目

仕事のときジャマっていうのは、間合いがとりづらくなるって意味で。
朱が髪伸ばしてる理由は、まぁ色々あったりで。
そのうちそんな話も書きたいです。