トランキライザー
 
 
 
 
ときどき、消えてしまいたくなる
情緒不安定
飲み込む小さなクスリ
 
 
 
軽く扉を開けて、なるべく音を立てないようにして、部屋に入る。
もうけっこう遅い時間なので、朱はもう寝てしまっただろう。

 
 
「−…おかえり、慧。」
 
唐突に聞こえた声に、振り返る。
 
 
「−朱。悪ィ、起こしたか?」
「ううん。ぼーっとしてただけ。」
寝ていた体を起こして、朱が言う。
 
 
「そっか。眠れねーの?」
「うん、なんか。慧こそどーした?」
「ん?何が?」
ジャケットを脱ぎながら、朱の方を見る。
 
 
「なんか、微妙に機嫌悪そうじゃん。」
「んー?んなコトねーけど。」
「そう?」
笑っていた俺の言葉に、朱が少し不思議そうな顔をする。
 
 
 
「あ、寝れねーなら牛乳飲むか?ホットで。」
「え、あ、うん。」
「おっけ。ちょっと待ってて。」
言って、冷蔵庫からパックを取り出し、2つのカップに入れて、レンジのボタンを押す。
 
 
「って言うかなんで牛乳?」
「こないだ先公が言ってた。…なんとかっていう成分が入ってて、眠気を誘うだかなんだか。」
「覚えてねーんじゃん。」
「気にすんな。」
クスクスと2人で笑う。
 
 
「お、温まった。何入れる?コーヒーかココアか紅茶。あ、まんまでもいーけど。」
「んー、ココア。」
「了解。」
答えて、カップにスプーン3杯ほどココアを入れてかき混ぜる。
 
 
「ほい。」
「サンキュー。慧は何?」
「俺もココア〜。」
朱にカップを渡して、一口すする。
 
 
「…朱って猫舌?」
少しずつ口をつける朱を見ながら聞く。
 
「うん、実は。猫舌じゃないヤツがすげー不思議。」
「俺は猫舌なヤツが不思議。」
笑いながら言って、当たり前のように一口飲む。
 
 
「あ、なんか機嫌直ったみたいじゃん。」
「へ?だから別に機嫌悪くなかったぜー?」
「そっかー?まぁ別にどっちでもいーけどさ。」
笑って朱が言う。
 
 
「…俺、機嫌悪かった?」
「うん、なんか面白くないコトあったみたいな感じした。」
おっかしーなぁ…顔には出さないようにしてたはずなのに。
 
 
「まぁ直ったならいいよ。」
軽く笑って、朱が言う。
 
「え、今普通?」
「うん。え、何、自覚ナシ?」
「や、うん…あんま…。」
 
 
確かに機嫌は悪かった。
ちょっと仕事で面白くないコトあって。
でも今は普通、か。
 
 
「んー眠くなってきた…。」
「あ、やっぱり?すげーな、なんとか。」
「なんとかな。」
言ってお互いに笑う。
 
 
「あー、なんか精神安定剤みたいじゃね?」
「牛乳が?」
不思議そうな顔で朱に聞く。
 
「うん。なんか、なんとなく眠れない夜に落ち着かせてくれる、みたいな。」
「あぁ、なるほどね。」
 
 
そっか、それだ。
 
 
「俺の精神安定剤は朱なんだ。」
「は?いきなり何恥ずかしいコト言ってんの?」
「だってそれしか思いつかねーもん。確かに、来たとき機嫌悪かったし。」
言って朱に笑いかける。
 
 
「わけわかんねー。
軽く笑って、朱が言う。
 
「でもそうなんだって♪」
照れくさそうな朱に向かってクスクスと笑いながら言う。
 
 
 
ときどき消えてしまいたくなる
でもココで生きている
ココに確かにある
精神安定剤
 
 

 
ホットミルクココアが今のあたしの精神安定剤デスvv
ちなみにあたしは猫舌(どうでもいいよ)
 
確か牛乳の眠気を誘う成分はトリプトファンだったような気がする。
間違ってたらすみません(汗)

前後の詩がわけわからんのは気にしてはいけません(爆)
ちなみにヤツは精神安定剤なんて飲んでないと思うよ(笑)