大切にしたいと想うコトは簡単で
大切にするコトはとても難しい
「−…ルビー、だっけ?」
唐突な問いに、朱がは?と返す。
「ん、赤い宝石。って、ルビーだっけかなーって。」
言うと、朱が納得したようにあぁ、と頷く。
「確かにルビーは赤いけど。それがどうしたん?」
「んー、朱の髪見てたらふと思っただけ。宝石みたいでキレイじゃん?」
言って、ニッコリと笑う。
赤い赤い、この白い肌の下を流れる色と、同じ。
「じゃあ、慧はアメジスト、かな?」
ふわりと笑って、朱が言う。
かな、と言って、同じように笑う。
例えば、そう。
それが宝石だったなら、大切にするのはとても簡単。
宝石箱の奥深くに、大事に大事にしまっておけばいい。
だけどそれが、宝石じゃなかったら?
「−あ、そう言えばさ。こないだ紋が−…」
例えばそれが、宝石なんかじゃなくて。
ましてや自分のモノなんかでもなくて。
簡単に誰かのモノになってしまうとしたら?
「−慧?」
手を離したらいなくなってしまいそうで。
愛しくて、寂しくて。
気がついたら、朱の後ろから手を回していた。
「…どうしたー?」
首を動かして、朱が小さく見上げてくる。
逃げようともせずに、優しい優しい笑みを浮かべて。
急にそれが、愛おしく感じられて。
手を、離したくなくて。
「慧…?」
不思議そうな目で、朱が見上げてくる。
少しだけ腕に力を入れて。
赤い色に軽く唇を落とした。
「−っな、何すんだよ。」
焦ったように言って、朱が腕の中からいなくなる。
それを見て、くつくつと喉で笑う。
「やー、朱が可愛くてつい。」
「つい、じゃねーよ。つーかカワイイとか言われても嬉しくねーし。」
動揺してる朱に、ごめんごめんと笑いかける。
前に誰かが言っていた。
俺は、大切にするのが下手だと。
否定はできなかった。本当に、下手だから。
俺の手の中にあると、壊れてしまうから。
壊して、しまうから。
「−…なぁ、朱。」
静かに名前を呼ぶと、何?とこっちを見る。
「−…俺さぁ、大切にすんの、下手なんだよね。」
軽く笑って、呟く。
「…それが、どうした…?」
不思議そうな顔で見てくる朱に、だからさ、と続ける。
「−だから、壊しちゃうかもしれないから。」
薄く、笑う。
「−その時は、先に殺してね。」
言って、クスクスと笑う。
朱は、驚いたような瞳で黙っていた。
あぁ、またやっちゃった。
朱を困らせたいわけじゃないのにな。
こーゆうの嫌いなの、ちゃんと知ってるのにな。
「−…ごめん、朱。今のな−」
「−俺は、」
俺の声を遮るようにして、朱が口を開く。
何かを言いたそうにしながら、何かを躊躇うようにしている。
俺は、それを黙ったまま見ていた。
「−っ」
ふいに感じた温かい感覚に、一瞬考える。
少し手を伸ばされて、朱の手が自分の手に触れているコトを理解した。
「−…俺は、そう簡単には壊れないから。」
だから、と朱が続ける。
「そーゆうコト、言うなよ。殺す、とか、言うなよ…。」
言って、朱が俯く。
なんて、脆いモノなんだろう。
人を殺すコトなんて、まるで当たり前の日常なのに。
親しい者を殺すコトには全く慣れていなくて。
なんて弱くて、なんて優しい。
顔を隠す赤い髪に手を伸ばしかけて、少し躊躇う。
手を触れたら、壊してしまいそうな気がして。
大事にしたいとは、思うのに。
大事にしすぎて、壊してしまいそうになる。
壊して、しまいたくなる。
だけど、触れたくて。
思わず手を伸ばして、小さく抱き寄せた。
「−…ごめん、朱。ごめんな…ありがと…。」
聞こえるか聞こえないかくらいで、小さく呟く。
腕の中で、朱が小さく笑った。
大切にしたいと思うコトは、酷く簡単で
大切にするコトは酷く難しい
だけど、大切にしたいと、思うんだ
2700hit★翡架 零菟 さんに捧げモノ、2つ目です(笑)
えとまぁ、書きやすかったので、勢いにまかせて2つ書いてしまいました〜(笑)
えーとえーと、なんだか話が怪しい方向に走っておりますが…(汗々)
からかわれてる朱と、切ない感じの慧をどうせなら両方書いてしまえとやってしまったモノです(笑)
どっちも中途半端にしか書けてないことには目を瞑ってください(オイ)
とりあえず慧は朱が大事なんです、とても。大事すぎてときどき壊したいんです(ん?)
こんなのでよければどうぞ〜(汗々)
(2004/11/1) |