笑顔とナイフ
許されたい、なんて 嘆いても仕方がなくて
許されたいのかどうかすら、もうわからない
ぽた、っと水の滴る音がして、続いてどさっと何かが落ちる音がする。
部屋一面に広がるのは、ただただ赤い世界。
それらをざっと見渡して、近くにあった椅子に腰掛けてポケットに手を入れる。
折り畳まれた携帯を取り出して、見知った名前に電話をかけた。
「−…あー…ナイフ錆そー…。」
血塗れのナイフを頭上にかざして呟いて、そこらへんに転がっているモノに切りつける。
切れ味の鈍ったナイフの下から、赤い液体が溢れてきた。
『−…もしもし、
低い電子音と共に、聞き慣れた声が聞こえる。
「終わった。」
『お疲れさまー。じゃあもう帰ってきていいよー。忘れ物ないようにね。』
「了解。あ、
『ん?』
「尚に、ナイフもう駄目だっつっといて。」
『ん、わかった。じゃあ気をつけてね。』
返事を一つして、電話を切る。
閉じた携帯をポケットにしまいながら立ち上がって、周りを見渡した。
「−…なんでわざわざ待ってた?」
血に濡れた柱に向かって言う。
「−…気付かれてたか…。」
「当たり前だろ。」
仮にも殺し屋なんだからよ、と呟くと、柱の影から一人の男が現れた。
「−…久しぶりだな、カツミ。」
黒スーツの男が、口だけで笑いながら言う。
「…誰だおまえ。」
「え、ウソ。覚えてねーの?」
「全然。どこのどいつ?」
「うっわー…昔の仲間の顔くらい覚えとけよなー。」
言いながら、男が左腕の袖をまくる。
その肌に刻まれていたのは、黒い龍の刺青。
「…懐かしいもん見せてくれること。」
「俺のこと思い出してくれたか?」
ニッコリと笑って男が言う。
「いや、全然。おまえマジで誰?いたっけ?」
「うわ、おまえマジかよ。寂しいヤツだなー。
「知らねー。つかんなことどーだっていいんだよ。退くなら見逃すし、ジャマすんなら殺すけど、どっち。」
言いながら男へと近付く。
「−…カツミ、戻ってこいよ。」
その言葉に足を止めて、まっすぐに男を見る。
「おまえの帰る場所はこっちだ。そうだろ?」
言いながら男は微笑む。優しげな笑顔で。
「−…違うね。」
軽く笑いながら呟いて、歩き出す。
「カツミ」
手の届く距離で止まって、男の前に立つ。
「俺には帰る場所なんかねーよ。昔から、な。」
「…そう、か…。」
そう言った瞬間、男が懐から銃を取り出す。
それを構える前に手を押さえ込んで、銃を奪う。
「−…相変わらず早いなー。」
「…見えてっからな。」
言いながら銃を落とす。赤い水たまりに落ちて、水がはねた。
「さーすが、『ゴッドアイ』の異名を持つだけはあるな。」
「なんだ、知ってんのか。」
「うちの情報網なめんなよ。」
「あぁ…知ってる。」
軽く笑って呟くと、男がふ、っと笑った。
「−…また、仲間を殺すんだな。」
笑顔で言う男に、ナイフを振りかざす。
「−っ!!」
ドン、という鈍い音と共に、血が数滴飛び散った。
「−…俺、おまえのこと…けっこう好き、だったぜ、カツミ。」
ずるずるとしゃがみ込みながら、途切れ途切れに男が呟く。
「−…俺も、アンタのことけっこう好きだったぜ、サカキ。」
見下ろしながら呟くと、男は少し驚いた顔をした。
「−…っおまえ、優しーなぁー…。」
ふ、っと微笑んで、男が呟く。とても、優しい笑顔で。
「−…また、か…。」
小さく呟きながら、動かなくなったモノへと手を伸ばす。
「…1人殺しちまったら、2人だろーが何人だろーが一緒なんだよ。」
ず、っとナイフを引き抜く。赤い赤い血が溢れて、流れた。
「−…今さら、何人殺ったって同じ、だ。」
周りを見渡して、自嘲気味に薄く笑う。
「…居場所、ねぇ…。」
そんなもの、昔から持ってなんかいない。必要なんてないから。
タバコを取り出そうとしたら、唐突に電子音が鳴り響いて携帯を取り出す。
『−もしもーし、黄ー?』
「紋?何か用か?」
『うん。あのね、帰りにバニラアイス買ってきてー。』
「は?」
『百円の安ーいヤツでいいからさ。よろしくー。じゃ、気をつけて帰ってきてね〜。』
「え、あ、ちょい、紋−」
プツッという音がして、耳元で電子音が鳴る。
「ったく…何なんだアイツ…。」
不平を言いながら、ポケットに携帯と赤いナイフをしまう。
「…つーか、この格好でどうしろっつーんだか…。」
血塗れの服を眺めながら、小さくため息をつく。
「−…帰る場所、か…。」
小さく笑って、小さく呟いた。
今さら、許されたいなんて願うはずもなくて
何を願ったって、何も叶うことはないから
だけど もし何かを願うことが許されるのなら
何かを願ってもいいのだろうか
自分のあるべき場所を
願ってしまってもいいのだろうか
1700hit コウちゃんに捧げまっす♪
かつみんでーす。人殺しー♪(笑)題名にひねりなくてゴメン(笑)
あぁ、本名出せなかったわ(笑) んでもって、通り名は『ゴッドアイ』ですー。まんまねー。
あたしの頭じゃそれぐらいしか考えられないのですよー(笑)
榊さんは黄の昔の仲間ですよ。黄はマジメに覚えておりません(笑)
昔話もそのうち書けたらいいなぁと淡い期待を持ちつつ…(遠い目)
どうでもいいけど紋はバニラアイスが好きなのです(笑)
誤字脱字あったら教えてくださいな〜(汗々)
またキリ踏んでやってね〜♪vv |